遺言書を法務局に預けたら、亡くなった後どうやって家族に伝わる?「指定者通知」を知っていますか
「遺言書を書いて法務局に預けたけれど、自分が亡くなった後、家族はどうやってその存在を知るのでしょうか?」
自筆証書遺言書保管制度について、意外と見落とされやすいポイントです。せっかく遺言書を作っても、その存在を誰にも知られないままでは困ります。現在の制度には、一定の場合に法務局から遺言書が保管されていることを知らせる仕組みがあります。
自筆証書遺言書を法務局で保管できます
自分で書いた自筆証書遺言書は、自宅などで保管するだけでなく、法務局の遺言書保管所へ預けることができます。法務局で保管されている遺言書は、相続開始後の家庭裁判所による検認が不要です。ただし、法務局に預けておけば亡くなった瞬間に家族全員へ遺言内容が自動的に送られる、という制度ではありません。
「指定者通知」とは?
遺言者があらかじめ希望しておくと、法務局が遺言者の死亡の事実を確認した場合に、指定した方へ遺言書が保管されている旨を知らせる仕組みがあります。これが「指定者通知」です。遺言書の存在を確実に伝えたい人をあらかじめ指定しておくための制度です。
現在は3名まで指定できます
現在、指定者通知の対象者は3名まで指定することができます。たとえば、長男だけでなく長女にも知らせたい、相続人と遺言執行者の両方に知らせたい、といった使い方が考えられます。遺言書を作るときには、内容だけでなく「誰に存在を知らせるか」まで考えておくことが大切です。
もう一つの「関係遺言書保管通知」
法務局からの通知には、指定者通知とは別に「関係遺言書保管通知」があります。遺言者が亡くなった後、関係相続人等の一人が遺言書情報証明書の交付を受けたり、遺言書を閲覧したりすると、その他の関係相続人等へ、遺言書が保管されていることが通知されます。指定者通知とは、通知が行われるきっかけが異なります。
通知が届いても、遺言書そのものが届くわけではありません
指定者通知は、遺言書が法務局に保管されていることを知らせるものです。通知を受け取っただけで遺言書の内容を確認できるわけではありません。相続人や受遺者等が内容を確認する場合には、遺言書情報証明書の交付請求や閲覧など、必要な手続を行います。
指定した人が引っ越したら?
遺言書を預けてから何年も経てば、通知先に指定した人が転居することもあります。その場合には変更の届出ができます。また、指定者通知の対象者について変更や追加を行うこともできます。遺言書は一度作って終わりではなく、家族関係や住所、財産、遺言執行者、通知してほしい人などに変化がないか、時々確認することも大切です。
2026年にも制度が見直されています
2026年3月には、自筆証書遺言書保管制度に関する省令改正が行われ、相続開始後の一部手続について、法務局が保有する情報を利用できる場合には、請求書への記載や添付書類を省略できる範囲が見直されています。制度は少しずつ利用しやすくなっていますので、以前調べたことがある方も、実際に利用するときには最新情報を確認することをおすすめします。
遺言書は「書く」だけでなく「伝わる」ことまで考える
遺言書で大切なのは、文章を作ることだけではありません。どこに保管するのか、亡くなった後に誰が存在を知るのか、誰が遺言内容を実行するのかまで考えておくことで、実際の相続手続につなげやすくなります。大志法務事務所では、遺言書の作成から相続開始後の各種手続までご相談を承っています。
遺言書は、作成した本人だけが知っている状態にするのではなく、必要なときに必要な人へ存在が伝わるところまで考えておくことが大切です。
さらに確認しておきたいポイント
二つの通知はきっかけが違います
指定者通知は法務局が遺言者の死亡を確認したことをきっかけに、あらかじめ指定された方へ知らせる仕組みです。
関係遺言書保管通知は、相続人等の一人が遺言書情報証明書の交付を受けたり閲覧したことをきっかけに、他の関係相続人等へ知らせる仕組みです。
通知対象者と閲覧できる人
指定者通知を受け取ったからといって、誰でも遺言内容を閲覧できるわけではありません。証明書交付や閲覧の請求ができる範囲は制度上定められています。
「誰に存在を知らせるか」と「誰が相続手続を進めるか」を分けて考えておくと安心です。
住所変更があれば通知先も見直す
遺言書を預けてから年月が経つと、指定した方が転居したり、家族関係が変化したりすることがあります。
遺言内容だけでなく通知対象者や連絡先も定期的に確認し、必要なら所定の変更手続を行います。
参考情報
制度改正などがあるテーマは、公開時点の情報を元に掲載しています。