社長も役員もずっと同じだから登記は必要ない? 会社の「役員変更登記」を忘れているケースがあります

会社を長く経営されている方とお話ししていると、「役員は設立したときから何も変わっていません」「家族だけの会社なので、役員変更なんてしていません」ということがあります。確かに、社長も取締役も同じ人のままであれば、「何も変わっていないのだから、登記も必要ない」と思うかもしれません。ところが株式会社の場合、これは注意が必要です。役員には「任期」があるためです。

同じ人が続ける場合でも登記が必要です

取締役の任期が満了し、株主総会で同じ人を再び選任した場合でも、役員変更登記が必要です。登記ではこれを「重任」といいます。

役員の任期は何年?

株式会社の取締役の任期は原則として2年です。ただし、一定の会社では定款によって最長10年まで伸長できる場合があります。

「うちの会社は10年だったはず」という思い込みではなく、定款や会社の機関設計などを確認する必要があります。

登記期限は「任期満了から2週間以内」

株式会社では、役員の変更が生じた場合、原則としてその変更が生じたときから2週間以内に変更登記をする必要があります。

「次に何か登記するときに、一緒にやればいい」というものではありません。

登記を忘れると「過料」の可能性があります

必要な登記を怠った代表者等は、裁判所から100万円以下の過料に処せられる可能性があります。

税金を払い、毎年決算をして普通に営業していることと、会社の登記が正しく更新されていることは別の問題です。

さらに長期間放置すると「みなし解散」の問題も

株式会社については、最後の登記から12年を経過している会社が休眠会社の整理作業の対象になります。一般社団法人・一般財団法人については5年です。

ここでいう「休眠会社」は、本当に営業を休んでいる会社だけを意味するわけではありません。実際には毎日営業している会社でも、最後の登記から12年を経過していれば対象になり得ます。

「会社を営業しているから大丈夫」ではありません

対象となった会社について官報公告が行われ、登記所から通知が発送されます。そして公告から2か月以内に、必要な役員変更等の登記、または「まだ事業を廃止していない」旨の届出をしなければ、解散したものとみなされて登記官が職権で解散登記をすることがあります。

「通知が来なかったから大丈夫」とも限りません

通知書が届かなかった場合でも、必要な手続をしなければみなし解散の対象になる可能性があります。会社が本店を移転したのに登記していないなど、登記されている会社情報と現状が違っていることもあります。

12年以内なら放置してよい、という意味でもありません

12年という期間は、休眠会社の整理作業の対象になる一つの基準です。役員変更登記などには、それぞれ本来の登記期限があります。

10年任期の会社は特に確認を

役員任期を10年にしている会社では、設立から8年、9年、10年程度経過している頃に、任期満了の時期が分からなくなっていることがあります。

登記簿を見るだけでは任期が分からないこともあります

登記事項証明書では現在の役員や就任年月日などを確認できますが、「この取締役の任期が何年なのか」までそのまま書いてあるわけではありません。定款や選任時期、会社の機関設計なども確認する必要があります。

家族経営の会社ほど忘れやすいかもしれません

社長が父、取締役が母と子、株主も家族だけという会社では、役員が変わる機会が少ないため、「誰も辞めていないから登記も必要ない」と思いやすいかもしれません。

しかし、人が変わらなくても任期は満了します。

会社の「健康診断」のように登記簿を確認してみる

会社の登記には、役員、代表者住所、本店所在地、商号、事業目的、資本金などさまざまな情報が記録されています。

何年も登記をしていない場合には、一度、会社の「健康診断」のような感覚で登記内容を確認してみるのもよいと思います。

大志法務事務所では役員任期の確認から対応できます

「役員変更登記が必要かどうか分からない」という段階でも構いません。現在の登記簿や定款などを確認すれば、役員の任期はいつまでなのか、既に任期が満了していないか、必要な登記が残っていないかを整理できる場合があります。

会社を長く続けていくために会社の現在の状態を、登記簿にも正しく反映しておく。これは会社を長く続けていくうえで、大切な管理の一つです。

参考情報

掲載内容は2026年8月15日時点の公表情報をもとにしています。

← コラム一覧へ戻る