会社をやめたら登記も終わり?「解散」と「清算結了」は別の手続です

会社の事業をやめることになったとき、

「会社を解散すれば、それで会社はなくなる」

と思われることがあります。

しかし、株式会社を解散しても、その瞬間に会社そのものが消えてなくなるわけではありません。

会社に残っている財産や借金などを整理する「清算」という手続を行い、それが終わった後に「清算結了」の登記をする、という流れになります。

法務局でも、株式会社について「解散及び清算人選任」と「清算結了」を別の登記手続として案内しています。

今回は、会社を閉じるときに知っておきたい登記の流れを解説します。

「営業をやめる」ことと「会社をなくす」ことは違います

たとえば、株式会社を経営している方が、

「今月末で店を閉める」

「もう新しい仕事は受けない」

「従業員も全員退職した」

という状態になったとします。

実際の営業は終わっています。

しかし、それだけで登記簿上の会社が自動的になくなるわけではありません。

会社を正式に終了させるためには、会社法に従った解散・清算の手続を進める必要があります。

「事業をやめた日」と「会社が法的に終了する日」は、必ずしも同じではないのです。

まず「解散」の手続をします

株式会社を自主的に閉じる代表的な方法の一つが、株主総会の決議による解散です。

会社内部で正式に解散を決めたら、その内容を法務局へ登記します。

そして、解散後の会社では、それまでの取締役に代わり、会社の後始末を担当する清算人が中心となって手続を進めます。

法務局の「商業・法人登記のよくあるご質問」でも、株式会社を解散する場合には、同時に清算人についても登記する必要があると案内されています。

つまり、

営業終了 ↓ 解散を決定 ↓ 解散・清算人の登記

という段階があります。

清算人は「会社の後片付け」をします

解散した会社には、まださまざまなものが残っている可能性があります。

たとえば、

預金 売掛金 不動産 自動車 借入金 買掛金 未払いの経費

などです。

これらを何も処理しないまま会社を終了させることはできません。

清算人は、会社の債権債務を整理し、残っている財産を処分し、必要な支払いなどを行います。

法務局の案内でも、会社を閉める場合には、清算人が債権債務を整理し、株主等に残余財産を分配するなどの手続をした後、清算結了登記を行う流れが示されています。

「清算人」という言葉は少し堅く感じますが、会社をきちんと終わらせるための後片付けを担当する人、と考えると分かりやすいでしょう。

解散したその日に清算結了はできません

ここは特に注意したいところです。

「会社を閉じると決めたのだから、解散登記と清算結了登記を一緒にしてしまいたい」

と思われるかもしれません。

しかし、解散後には清算手続が必要です。

株式会社の場合、法務局は、清算結了の際の決算報告書を承認する決議について、解散の決議をした日から2か月以上の期間を置く必要があると案内しています。

したがって、

解散登記をしたらすぐ会社が消える

という仕組みではありません。

一定の清算期間を経てから、清算結了へ進みます。

「解散」と「清算結了」は登記も別です

会社を閉じるときに分かりにくいのがここです。

法務局では現在、「株式会社解散及び清算人選任登記申請書」と、「株式会社清算結了登記申請書」をそれぞれ別の様式として公開しています。2026年5月11日更新の申請書様式でも、この二つは別々の手続として掲載されています。

大まかに整理すると、

① 解散を決める ↓ ② 解散・清算人に関する登記 ↓ ③ 清算手続を行う ↓ ④ 決算報告について承認を受ける ↓ ⑤ 清算結了登記

という流れになります。

最初の「解散登記」だけで終わりではありません。

解散後も会社名義の不動産が残っていたら?

会社が土地や建物を所有している場合は、特に注意が必要です。

会社を清算するのであれば、その不動産をどうするのかも整理しなければなりません。

たとえば、

第三者へ売却する 株主などへ残余財産として分配する

など、その会社の状況に応じた処理を検討することになります。

会社名義の不動産が残ったまま、「もう営業していないから」という理由だけで放置すると、後になって処分しようとしたときに手続が複雑になることがあります。

会社を閉じるときは、商業登記だけでなく、会社名義の不動産がないかも確認しておくことが重要です。

借金がある会社も勝手に終わらせることはできません

会社に借入金や未払金がある場合も同じです。

解散したからといって、会社の債務が自動的に消えるわけではありません。

清算では、会社の債権者との関係も整理する必要があります。

会社の財産だけでは債務を支払えないような場合には、通常の清算だけでは処理できない可能性もあります。

「会社をやめたい」という相談では、会社にどのような財産があるのか、どのような債務があるのかを確認することが非常に重要です。

単純に登記だけをすれば終了する問題ではありません。

税務や社会保険などの手続もあります

会社を閉じるときは、法務局の登記だけを考えればよいわけではありません。

会社の状況によって、税務署、都道府県・市町村、年金事務所、金融機関、許認可を担当する行政機関などへの届出や手続が必要になることがあります。

また、従業員がいる会社であれば、雇用関係の手続も関係します。

そのため、「解散登記を司法書士に頼んだから、会社を閉じる手続は全部終わった」とは限りません。

登記・税務・社会保険・許認可などを分けて整理しておくことが大切です。

合同会社にも解散・清算結了の登記があります

株式会社だけの話ではありません。

合同会社などの持分会社についても、法務局は「解散及び清算人選任」「清算結了」の登記手続を案内しています。

最近は、小規模な事業や資産管理会社などで合同会社を利用するケースもあります。

「合同会社だから、事業をやめればそのまま放置してよい」というわけではありません。

会社を正式に終了させるのであれば、会社形態に応じた手続を確認する必要があります。

「休眠」と「解散」も同じではありません

しばらく営業しないだけで、将来また事業を再開する可能性がある会社もあります。

一方で、「今後この会社を使う予定はない」という会社もあります。

この二つでは、今後の対応が変わります。

会社を残すのであれば、営業していなくても登記事項に変更が生じれば必要な登記を行うことになりますし、株式会社では役員の任期についても考えなければなりません。

逆に、本当に会社を終了させるのであれば、解散・清算という手続を検討します。

単に、「今は仕事をしていない」という状態と、「会社を法的に終了させる」ことは区別して考える必要があります。

会社を作るときだけでなく「終わらせるとき」にも登記があります

会社設立のときには、「法務局で登記をする」ということを知っている方は多いと思います。

しかし、会社を終わらせるときにも登記が必要であることは、意外と知られていません。

会社を正式に終了させる場合には、

解散 → 清算 → 清算結了

という流れを確認することが重要です。

法務局も、商業・法人登記の手続として「解散、清算結了」を独立した項目として案内しており、会社・法人の登記申請を代理する専門家として司法書士を案内しています。

大志法務事務所では、株式会社・合同会社などの解散、清算人、清算結了に関する登記についてご相談を承っています。

「長年動かしていない会社を整理したい」

「会社を閉めることになったが、何から始めればよいか分からない」

という場合も、現在の登記内容を確認したうえで必要な手続をご案内します。

参考情報