隣り合う2つの土地、1つにまとめられる?
登記上の区切りをなくす「土地合筆登記」とは
「自宅の敷地が、登記上は2つの土地に分かれている」
「隣の土地を買い足して一体として使っている」
「現地では一つの庭なのに、地番がいくつもある」
このような土地を所有している方もいらっしゃると思います。
塀や境界標がなく、見た目には一つの土地として使っていても、登記記録を確認すると、複数の土地に分かれていることがあります。
例えば、
・自宅が建っている土地
・後から買い足した隣の土地
・駐車場として利用している土地
が、それぞれ別の地番になっているケースです。
このような複数の土地を、登記上も一つの土地にまとめるための手続が、**「土地合筆登記」**です。
今回は、どのような土地なら合筆できるのか、合筆すると何が変わるのか、注意すべき点とともにご説明します。
土地は「一筆、二筆」と数えます
登記上、土地は「筆」という単位で数えます。
例えば、
「○○市△△町100番の土地」
と、
「○○市△△町101番の土地」
は、隣り合っていて同じ人が所有していたとしても、登記上は別々の土地です。
それぞれに登記記録が作られ、地番、地目、地積、所有者、抵当権などの情報が記録されています。
この2筆を登記上の1筆にまとめることが「合筆」です。
「合筆」は一般に「ごうひつ」と読みます。
現地で一体として使っていても、自動的には一つになりません
例えば、100番と101番の土地を同じ所有者が所有し、両方を一つの庭として利用しているとします。
境目に塀もなく、固定資産税もまとめて納付しているように感じられるかもしれません。
それでも、登記上の土地が自動的に一つになるわけではありません。
反対に、現地で土地を分けて使っているからといって、登記上も自動的に分かれるわけではありません。
現地での使い方と、登記上の土地の区切りは別のものです。
登記上の区切りをなくしたい場合には、土地合筆登記を申請する必要があります。
隣り合っていれば、どの土地でも合筆できるわけではありません
土地合筆登記には、法律上の制限があります。
主な確認事項は次のとおりです。
・土地同士が接していること
・地目が同じであること
・同じ地番区域にあること
・所有者が同じであること
・共有の場合は、共有者と持分の構成が同じであること
・所有権以外の権利に関する登記の状況に問題がないこと
単に、
「隣にあるから一つにしたい」
というだけでは合筆できない場合があります。
不動産登記法第41条は、合筆できない土地の条件を定めています。
離れた土地同士は合筆できません
最初の条件は、土地同士が接していることです。
同じ所有者の土地であっても、道路や第三者の土地を挟んで離れている土地を一つにまとめることはできません。
また、図面上では接しているように見えても、実際の位置関係や公図などを確認すると、別の土地が間に入っていることがあります。
合筆を検討するときは、登記事項証明書だけでなく、公図なども確認して土地の位置関係を調べます。
「宅地」と「雑種地」など、地目が違う土地はそのまま合筆できません
土地の登記記録には、その土地の主な用途を表す「地目」が記載されています。
代表的な地目には、
・宅地
・田
・畑
・山林
・雑種地
・公衆用道路
などがあります。
例えば、一方が「宅地」、もう一方が「雑種地」として登記されている場合、そのままでは合筆できません。
現地では両方とも自宅の敷地として使われていたとしても、登記上の地目が異なっていれば、先に現況を確認し、必要に応じて地目変更登記を検討することになります。
ただし、登記の地目は所有者が自由に選べるものではありません。
土地全体の客観的な利用状況を確認して判断します。
所有者や共有持分が違う土地も合筆できません
100番の土地は夫の単独所有、101番の土地は夫婦の共有という場合、所有関係が異なるため、そのまま合筆することはできません。
また、両方とも同じ2人の共有であっても、
100番は夫2分の1、妻2分の1、
101番は夫3分の2、妻3分の1、
というように共有持分が異なる場合も、合筆の制限に該当します。
合筆後は一つの土地になるため、合筆前の各土地について、所有関係がそろっている必要があるのです。
共有土地では、共有者と持分の構成だけでなく、誰が申請人になるのかについても個別の確認が必要です。
同じ人の土地でも、登記上の住所や氏名が違う場合があります
実際の所有者は同じ人でも、登記記録上の表示がそろっていないことがあります。
例えば、
・一方は以前の住所で登記されている
・一方は現在の住所で登記されている
・結婚前と結婚後の氏名が混在している
・登記記録に使われている文字が異なっている
といったケースです。
この場合、合筆登記の前に、住所や氏名の変更登記が必要になることがあります。
2026年4月1日からは、不動産所有者の住所・氏名の変更登記も義務化されています。
合筆する予定がなくても、登記上の住所や氏名が現在のものと一致しているか、確認しておくことが大切です。
抵当権が付いている土地は特に確認が必要です
住宅ローンなどの抵当権が登記されている土地では、合筆できるかどうかを慎重に確認する必要があります。
例えば、
・100番には抵当権がある
・101番には抵当権がない
という状態で2筆を一つにしてしまうと、合筆後の土地に抵当権がどのように及ぶのか分かりにくくなります。
このような権利関係の混乱を防ぐため、所有権以外の権利に関する登記がある土地には合筆の制限があります。
もっとも、抵当権が登記されていれば必ず合筆できない、というわけではありません。
各土地に同じ受付年月日・受付番号などで同一の抵当権が登記されている場合など、合筆後の土地へ引き継ぐことができる例外もあります。
土地ごとに登記内容が異なるため、登記事項証明書を取得して確認することが必要です。
合筆登記は「必ずしなければならない登記」ではありません
土地の合筆登記は、建物を新築したときの建物表題登記や、土地の利用状況が変わったときの地目変更登記とは性質が異なります。
複数の土地を所有しているからといって、必ず一つにまとめなければならないわけではありません。
そのまま複数の地番で所有し続けることもできます。
合筆登記は、
「土地を一体として管理したい」
「今後もまとめて利用する予定である」
「登記記録を整理したい」
といった場合に、所有者の希望により検討する手続です。
合筆すると、土地の管理が分かりやすくなることがあります
合筆すると、複数あった登記記録が一つになります。
そのため、
・登記事項証明書を取得する土地の数が減る
・土地の表示が分かりやすくなる
・一体として利用している土地を一つの単位で管理できる
・将来の売買や担保設定の対象を整理しやすくなる
といった利点があります。
例えば、自宅の敷地が細かく5筆に分かれており、今後も全体を一つの敷地として使い続けるのであれば、合筆によって管理しやすくなる可能性があります。
ただし、合筆した方がよいかどうかは、今後の利用方法によって異なります。
合筆登記をしても、面積の誤差が直るわけではありません
ここは注意が必要です。
合筆登記は、複数の土地を登記上の一筆にまとめる手続です。
土地の境界を新しく決めたり、正確な面積を測り直したりする手続ではありません。
そのため、合筆登記をすれば必ず境界が明確になる、正しい実測面積が登記される、というわけではありません。
合筆だけを目的とする場合、必ず確定測量や境界確定を行うわけではありませんが、土地の位置関係が不明確な場合や、登記記録と現地の状況が合わない場合には、追加の調査が必要になることがあります。
「面積を正しく直したい」
「隣地との境界を明確にしたい」
という目的であれば、合筆登記とは別の手続を検討しなければなりません。
将来、一部だけを売る予定がないかも考えましょう
一度合筆した土地の一部だけを後から売却したい場合には、再び土地を分ける「分筆登記」が必要になります。
分筆登記では、一般に土地の境界や面積を確認し、地積測量図を作成する必要があります。
そのため、
「今は一体として使っているが、将来は道路側の一部を売るかもしれない」
「子どもごとに土地を分けて相続させる予定がある」
「建物を建てる部分と駐車場部分を別々に処分する可能性がある」
という場合は、合筆を急がない方がよいこともあります。
現在の管理のしやすさだけでなく、将来の売却、相続、建築計画まで考えて判断することが大切です。
相続登記が終わっていない土地にも注意が必要です
隣り合う土地を亡くなった親から相続していても、登記名義が親のままになっていることがあります。
また、一方は相続登記済みで、もう一方は亡くなった親名義のまま、というケースもあります。
合筆登記を検討する前に、
・現在の登記名義人は誰か
・相続登記が完了しているか
・共有者と持分が各土地で一致しているか
・住所や氏名の変更登記が必要ではないか
を整理する必要があります。
2024年4月1日から相続登記は義務化されています。
土地をまとめたいという相談をきっかけに、古い相続登記や住所変更登記の未了が見つかることもあります。
登録免許税や必要書類も確認します
所有権の登記がある土地の合筆登記では、通常、合筆後の土地1筆につき1,000円の登録免許税がかかります。
例えば、2筆の土地を1筆に合筆する場合、登録免許税は1,000円です。
このほか、専門家へ依頼する場合には報酬や、登記事項証明書、公図などの資料取得費用がかかります。
申請に当たっては、登記識別情報、印鑑証明書、委任状などが必要になる場合があります。
必要書類は、所有権の登記の有無、共有関係、抵当権などの権利関係によって異なるため、個別に確認します。
まずは各土地の登記内容を確認しましょう
土地合筆登記を考えるときは、最初から「合筆できる」と決めず、各土地の登記事項証明書や公図を確認することが重要です。
特に確認したいのは、
・土地同士が接しているか
・地目が同じか
・地番区域が同じか
・所有者、住所、氏名が一致しているか
・共有者と共有持分が一致しているか
・抵当権などの権利の登記があるか
・将来、土地の一部だけを売却する予定がないか
という点です。
一つでも条件がそろっていない場合、先に別の登記や権利関係の整理が必要になることがあります。
大志法務事務所では、土地家屋調査士業務として土地合筆登記を取り扱っています。
「隣り合う土地を一つにできるか確認したい」
「自宅の敷地が何筆にも分かれている」
「土地ごとに住所や抵当権の記載が違う」
といった場合も、登記記録や利用状況を確認しながら、必要な手続をご案内します。
なお、当事務所では、確定測量、境界確定、分筆登記は現在積極的には取り扱っていません。
合筆を検討する過程で境界確定や分筆などが必要となる場合には、協力土地家屋調査士をご紹介する形で対応します。
土地の地番がいくつもあることに気付いたら、単に一つにまとめるだけでなく、今後どのように利用し、売却し、相続していくのかまで考えた上で検討してみてください。
参考情報
※制度や取扱いは変更されることがあります。公開時点の公式情報を基に掲載しています。
