引っ越したのに不動産の住所は昔のまま? 2026年4月から「住所・氏名の変更登記」が義務になりました

「自宅を買った後に引っ越した」「結婚して名字が変わった」「昔購入した土地の登記簿には、以前住んでいた住所が載っている」。このような方は、一度、不動産の登記を確認してみた方がよいかもしれません。2026年4月1日から、不動産の所有者について、住所や氏名・名称が変わった場合の変更登記が義務化されました。

引っ越しただけでも登記が必要です

土地や建物の登記簿には、所有者の氏名と住所が記録されています。

ところが、住民票の住所を変更しても、不動産登記簿の住所が自動的に変更されるわけではありませんでした。

そのため、「20年前に購入した土地なのに、登記簿には当時住んでいたアパートの住所が残っている」ということもあります。

これまでは住所変更登記をしなくても法律上の義務違反ではありませんでした。しかし2026年4月1日からは、不動産の所有者が住所や氏名・名称を変更した場合、原則として変更した日から2年以内に変更登記をすることが義務になりました。

2026年4月より前に引っ越した人も対象です

ここは特に注意していただきたいところです。

今回の義務化は、「2026年4月1日以降に引っ越した人だけ」が対象ではありません。

2026年4月1日より前に住所や氏名が変わっていて、現在も変更登記をしていない場合も対象です。

この場合には、原則として2028年3月31日までに変更登記をする必要があります。

例えば、「自宅を購入した後、10年前に別の場所へ引っ越した」「昔相続した土地があるが、その後何度も転居した」という方も関係します。

正当な理由なく義務に違反すると5万円以下の過料の可能性があります

住所等変更登記を正当な理由なく期限内にしなかった場合には、5万円以下の過料の対象となる可能性があります。

ただし、「期限を1日過ぎたら自動的に5万円」という制度ではありません。

大切なのは、過料だけを心配することではなく、登記簿上の所有者情報を現在の状態にしておくことです。

なぜ住所変更まで義務になったのでしょうか

背景には「所有者不明土地」の問題があります。

登記簿に古い住所しか記録されていないと、現在の所有者へ連絡を取ることが難しくなることがあります。

公共事業や災害復旧などを進める際にも問題になります。

そこで相続登記に続いて、住所や氏名の変更についても登記を義務化することになりました。

でも、これから引っ越すたびに登記をするの?

ここまで読むと、「転勤が多い人は、引っ越すたびに不動産の住所変更登記をしなければならないの?」と思われるかもしれません。

そこで同時に始まったのが、「スマート変更登記」という仕組みです。

個人の場合、あらかじめ氏名、住所、生年月日などの「検索用情報の申出」をしておくことで、この仕組みを利用できます。

スマート変更登記なら法務局が住所変更を確認します

検索用情報を申し出た後は、法務局が少なくとも2年に1回、住民基本台帳ネットワークシステムに照会し、住所等に変更がないかを確認します。

変更が確認された場合には、本人に変更登記をしてよいか確認したうえで、法務局が職権で住所等変更登記を行います。

この職権による変更登記については、登録免許税もかかりません。

つまり、検索用情報の申出をしておけば、その後は住所が変わるたびに自分で変更登記を申請する負担を減らすことができます。

「何もしなくても自動的に変わる」わけではありません

ここは重要です。

スマート変更登記という名前から、「住民票を移せば、何もしなくても登記簿も自動的に変わる」と思ってしまうかもしれません。

個人の場合はそうではありません。

法務局が住基ネットの情報を検索するためには、原則として所有者からあらかじめ検索用情報を申し出ておく必要があります。

また、住所等の変更が確認された場合にも、本人の了解を得たうえで職権による変更登記が行われます。

すぐに登記を直したい場合は通常の変更登記を

スマート変更登記を利用していても、法務局による確認・変更登記には一定の時間がかかります。

そのため、「不動産を売却することになった」「金融機関の融資を受ける」などの事情で、登記簿上の住所をすぐ現在の住所に直す必要がある場合には、従来どおり住所変更登記を申請する方法があります。

不動産を複数持っている方は一度確認してみましょう

特に確認していただきたいのは、「自宅以外にも土地を持っている」「親から相続した田や畑がある」「昔購入した土地がある」「何度か引っ越しをしている」「結婚や離婚などで氏名が変わった」という方です。

普段使っている自宅については覚えていても、昔相続した土地や遠方の土地については、登記簿にどの住所が記録されているか分からないということがあります。

今回の義務化をきっかけに、一度確認してみるのもよいでしょう。

相続登記とは別の義務です

「相続登記はもう済ませたから大丈夫」という方も注意してください。

相続登記と住所等変更登記は別の制度です。

例えば、10年前に父から土地を相続して自分名義にしたものの、その後引っ越して登記簿の住所を変更していなければ、今回の住所等変更登記の問題が生じます。

反対に、現在の住所が正しく登記されていても、亡くなった方の名義のままになっている不動産については、相続登記の問題があります。

まず「登記簿の住所」を確認してみてください

今回の制度は2026年4月1日に始まったばかりです。

これまで住所変更登記を意識していなかった方も少なくないと思います。

まず確認したいこと 自分が所有している土地や建物の登記簿に、現在の住所・氏名が記録されているかを確認してみることをおすすめします。

昔の住所のままであれば、いつ住所が変わったのか、どの不動産を所有しているのかを整理したうえで、変更登記またはスマート変更登記の利用を検討することになります。

大志法務事務所では、不動産の住所・氏名変更登記や検索用情報の申出についても、内容に応じてご案内しています。

参考情報

掲載内容は2026年8月時点の公表情報をもとにしています。

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