亡くなった親の固定資産税は誰が払う?相続登記前でも納税義務はある?
相続人代表者の届出・遺産分割前の税金・空き家の固定資産税を解説します
「父が亡くなった後、父の名前で固定資産税の納税通知書が届きました」
「まだ遺産分割協議も終わっていません。誰が支払えばよいのでしょうか?」
「相続登記をしていないのだから、固定資産税も払わなくてよいのでしょうか?」
親が亡くなり、不動産を相続すると、相続登記だけでなく、固定資産税の問題も生じます。
特に、相続人が複数いる場合には、誰が固定資産税を支払うのか、納税通知書を誰が受け取るのかが問題になることがあります。
また、亡くなった親の家が空き家になっている場合には、今後の固定資産税がどうなるのかも気になるところです。
今回は、不動産の所有者が亡くなった場合の固定資産税の取扱いと、相続人が行うべき手続について解説します。
1.固定資産税は、いつの所有者に課税される?
固定資産税は、原則として、毎年1月1日現在の土地・家屋などの所有者に課税されます。
例えば、令和8年1月1日時点で父親が土地と建物を所有していた場合です。
その後、令和8年3月に父親が亡くなったとしても、令和8年度の固定資産税は、原則として1月1日時点の所有者である父親を基準に課税されます。
ただし、父親が亡くなったことによって、既に発生している納税義務がなくなるわけではありません。
亡くなった方の地方税の納税義務は、法律の定めに従って相続人に承継されます。
したがって、所有者が亡くなっても、固定資産税の支払義務が自動的になくなることはありません。
2.亡くなった親宛てに納税通知書が届いたら?
父親が亡くなった後も、父親名義で固定資産税の納税通知書が届くことがあります。
例えば、令和8年2月に父親が亡くなり、同年4月に父親宛ての納税通知書が届いた場合です。
この場合、納税通知書をそのまま放置することは避けましょう。
まずは、不動産が所在する市区町村の固定資産税担当窓口に連絡し、所有者が亡くなったことを伝えます。
そのうえで、納税義務の承継や納税通知書の送付先について確認します。
なお、死亡後の納税通知書の取扱いや必要な届出は、市区町村によって異なります。
3.相続登記が終わっていなくても、固定資産税を払う必要がある?
はい。相続登記が終わっていないことを理由に、固定資産税の納税義務がなくなるわけではありません。
例えば、父親が亡くなり、相続人が母親と長男、長女の3人だった場合です。
遺産分割協議が終わっておらず、土地や建物の名義が父親のままだったとしても、相続人が納税義務を負うことがあります。
ここで注意したいのは、相続登記と固定資産税は別の制度だということです。
相続登記は、不動産の所有権を登記簿に反映させるための手続です。
一方、固定資産税は、地方税法などに基づいて課税される税金です。
そのため、相続登記が未了であっても、固定資産税については適切に対応する必要があります。
4.相続人が3人いる場合、固定資産税は誰が払う?
相続人が複数いる場合には、相続開始後の固定資産税について、相続人全員が関係することがあります。
例えば、父親が亡くなり、母親、長男、長女が相続人になった場合です。
遺産分割協議が終わるまでは、相続財産である不動産を相続人が共有している状態となるのが原則です。
この場合、共有不動産に係る固定資産税については、法律上、共有者が連帯して納税義務を負うことがあります。
つまり、市区町村に対しては、単純に、
「私は4分の1しか相続しないので、固定資産税も4分の1しか払いません」
とは主張できない場合があります。
ただし、相続人間で最終的にどのように費用を負担するかは、別の問題です。
相続人間で話し合い、誰が立て替えるのか、後からどのように精算するのかを決めておくとよいでしょう。
5.「相続人代表者指定届」とは?
不動産の所有者が亡くなった場合、市区町村から「相続人代表者指定届」などの書類が送られてくることがあります。
これは、固定資産税に関する納税通知書などを受け取る相続人の代表者を届け出るためのものです。
例えば、父親が亡くなり、相続人が母親と子ども2人だった場合です。
長男を相続人代表者として届け出ることで、長男宛てに納税通知書などが送付されることがあります。
ただし、相続人代表者になったからといって、その人が不動産を単独で相続するわけではありません。
また、相続人代表者の届出は、遺産分割協議や相続登記に代わるものではありません。
あくまで、固定資産税に関する通知などを受けるための手続です。
6.相続人代表者になったら、税金を全部負担しなければならない?
相続人代表者として納税通知書を受け取ることと、相続人間で税金を最終的に負担することは、別の問題です。
例えば、長男が相続人代表者となり、固定資産税10万円の納税通知書を受け取った場合です。
長男がいったん10万円を支払ったとしても、当然に長男だけが最終的な負担者になるわけではありません。
相続人間で、
「遺産分割が終わるまでは、固定資産税を相続財産から支払う」
「長男が立て替え、遺産分割の際に精算する」
といった取決めをすることも考えられます。
後からトラブルにならないよう、支払った金額や負担方法を記録しておくことが重要です。
7.遺産分割協議で土地を取得する人が決まったら?
例えば、父親が亡くなり、長男が実家の土地と建物を相続することになった場合です。
遺産分割協議が成立すると、相続人間では、その不動産を長男が取得することになります。
ただし、遺産分割協議が成立したからといって、過去に発生した固定資産税の納税義務が当然にすべて長男へ移るわけではありません。
また、固定資産税の課税関係では、1月1日時点の所有状況や登記・固定資産課税台帳の記載などが重要になります。
そのため、遺産分割協議書には、必要に応じて固定資産税の負担や精算について定めておくと安心です。
例えば、
「対象不動産に係る固定資産税については、令和8年度分から長男が負担する」
といった取決めが考えられます。
ただし、このような相続人間の合意によって、市区町村に対する法定の納税義務が当然に変更されるわけではありません。
8.相続登記をすれば、市役所への届出は不要?
相続登記を行うと、法務局から市区町村に登記情報が通知され、固定資産課税台帳にも反映される仕組みがあります。
そのため、通常は、相続登記によって新しい所有者が登記されれば、翌年度以降の固定資産税の課税にも反映されます。
ただし、相続登記を行う時期によっては、課税情報への反映が間に合わない場合があります。
また、未登記建物については、法務局の登記情報だけでは所有者の変更を把握できません。
そのため、未登記建物を相続した場合には、市区町村への所有者変更の届出などが必要になることがあります。
相続登記をしたからといって、すべての市区町村で追加の確認が不要になるとは限りません。
9.亡くなった親の家が空き家になったら、固定資産税はどうなる?
親が亡くなり、誰も住まなくなった実家について、
「空き家になったら、固定資産税が高くなるのでは?」
と心配される方もいます。
しかし、人が住んでいないという理由だけで、直ちに固定資産税が高くなるわけではありません。
住宅が建っている土地には、一定の要件のもとで、住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例が適用されます。
例えば、小規模住宅用地については、固定資産税の課税標準が原則として6分の1に軽減されます。
ただし、空き家の管理状態が悪く、法律に基づいて特定空家等や管理不全空家等として一定の勧告を受けた場合には、住宅用地の特例の対象から外れることがあります。
また、建物を取り壊した場合にも、住宅用地の特例が適用されなくなることがあります。
そのため、空き家になった実家を今後どうするかについては、固定資産税の負担も考慮して判断することが重要です。
10.建物を取り壊せば、固定資産税は安くなる?
古い実家を相続した場合、
「誰も住まないので、建物を取り壊した方が税金が安くなるのでは?」
と考えることがあります。
確かに、建物を取り壊し、翌年1月1日時点で存在しなくなっていれば、原則として翌年度からその建物に対する固定資産税は課税されなくなります。
しかし、土地については注意が必要です。
住宅を取り壊したことで、住宅用地に対する課税標準の特例が適用されなくなり、土地の固定資産税が増える場合があります。
つまり、建物の固定資産税がなくなっても、土地の固定資産税が増えることで、全体の税負担が増える可能性があるのです。
建物を取り壊す前には、市区町村の固定資産税担当窓口に相談し、税負担がどのように変わるのか確認することをおすすめします。
なお、建物を取り壊した場合には、固定資産税の手続とは別に、建物滅失登記が必要となる場合があります。
11.固定資産税を払わずに放置するとどうなる?
相続した不動産について、固定資産税の納税通知書が届いても、そのまま放置してしまう方がいるかもしれません。
しかし、納期限までに納付しなければ、延滞金が発生する場合があります。
さらに、督促などを経ても納付されない場合には、法令に基づいて財産の差押えなどの滞納処分が行われる可能性があります。
「相続人同士で話し合いが終わっていない」
「誰が土地を取得するか決まっていない」
という事情があっても、当然に納税期限が延長されるわけではありません。
支払いが難しい場合には、放置せず、市区町村の納税担当窓口に相談することが大切です。
12.親が亡くなったら、固定資産税について何を確認すればよい?
不動産を所有していた親が亡くなった場合には、次の点を確認しましょう。
① 固定資産税の納税通知書を探す
親が所有していた土地や建物、年間の税額などを確認します。
② 市区町村に死亡の事実を伝える
相続人代表者の届出など、必要な手続を確認します。
③ 相続人間で税金の負担方法を決める
誰が支払い、どのように精算するかを話し合います。
④ 遺産分割協議を進める
不動産を誰が取得するのか決め、必要に応じて固定資産税の負担についても取り決めます。
⑤ 相続登記を行う
相続によって不動産を取得した場合には、原則として、取得を知った日から3年以内に相続登記を申請する義務があります。
⑥ 空き家の管理や処分を検討する
誰も住まない家については、固定資産税だけでなく、維持管理費や建物の老朽化なども考慮します。
まとめ
親が亡くなり、不動産を相続すると、相続登記だけでなく、固定資産税についても対応が必要になります。
特に重要なのは、次の点です。
① 固定資産税は、原則として毎年1月1日現在の所有者を基準に課税されること
② 所有者が亡くなっても、納税義務が自動的になくなるわけではないこと
③ 相続登記が終わっていなくても、相続人が固定資産税の納税義務を負うことがあること
④ 相続人代表者の届出は、不動産を誰が相続するかを決める手続ではないこと
⑤ 空き家を取り壊すと、土地の固定資産税が増える場合があること
相続人間で固定資産税の負担をめぐるトラブルが生じないよう、早めに話し合い、必要な手続を進めておくことが大切です。
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「親が亡くなり、固定資産税の納税通知書が届いた」
「相続人が複数いて、誰が固定資産税を払えばよいか分からない」
「相続した実家が空き家になっており、今後どうすればよいか悩んでいる」
という場合には、お気軽にご相談ください。
不動産の相続では、名義を変更することだけでなく、その後の税金や管理についても考えておくことが重要です。
