相続登記には、税金がいくらかかる?
登録免許税は「不動産の固定資産税評価額×0.4%」が基本です

「親の家を相続したので名義変更をしたいのですが、税金はいくらかかりますか?」

「3,000万円で買った家なら、3,000万円に税率を掛けるのでしょうか?」

「田舎の土地は登録免許税がかからないことがあると聞きました」

相続登記のご相談では、必要書類と並んで多いのが、「結局、登記にいくらかかるの?」というご質問です。

不動産の登記をするときには、原則として「登録免許税」という税金がかかります。

相続による土地・建物の所有権移転登記では、基本的に、

不動産の価額 × 0.4%

で登録免許税を計算します。

ただし、ここでいう「不動産の価額」は、不動産会社の査定価格や購入したときの金額ではありません。

また、一定の土地については、2027年3月31日まで登録免許税が免税になる制度もあります。

今回は、相続登記の登録免許税について、「何に0.4%を掛けるのか」「どんな場合に免税になるのか」を具体例とともにご説明します。

相続登記の税率は原則0.4%です

相続によって土地や建物の所有権を取得し、相続登記をするときの登録免許税率は、原則として、

1,000分の4=0.4%

です。

例えば、登録免許税の計算に使う不動産の価額が1,000万円であれば、単純計算すると、

1,000万円 × 0.4% = 4万円

となります。

2,000万円なら、

2,000万円 × 0.4% = 8万円

です。

土地も建物も、相続による所有権移転登記の基本税率は0.4%です。

ただし、実際の計算では課税価格や税額について端数処理がありますので、単純に電卓で掛け算した金額と最終的な納付額が少し異なることがあります。

「売れる金額」に0.4%を掛けるわけではありません

ここは特によくある誤解です。

例えば、

「この自宅は不動産会社に査定してもらったら3,000万円でした」

という場合でも、3,000万円をそのまま登録免許税の計算に使うわけではありません。

登録免許税の課税標準となる不動産の価額は、原則として、市町村の固定資産課税台帳に登録された価格を使います。

一般に「固定資産税評価額」と呼ばれている金額です。

つまり、

・購入したときの価格
・現在の売却相場
・不動産会社の査定価格
・相続税評価額

とは別のものです。

相続登記をする際には、固定資産税の課税明細書や評価証明書などを確認して計算します。国税庁も、不動産の価額について、固定資産課税台帳に登録された価格がある場合は原則としてその価格を使用すると案内しています。

固定資産税の通知書では「課税標準額」と間違えないように

毎年届く固定資産税の課税明細書には、いくつか似たような数字が記載されています。

例えば、

・価格
・評価額
・固定資産税課税標準額
・都市計画税課税標準額

などです。

登録免許税の計算で確認するのは、通常、「価格」または「評価額」と表示されている金額です。

固定資産税を計算するときの「課税標準額」と同じとは限りません。

住宅用地などでは、固定資産税について特例措置があるため、評価額より課税標準額が大幅に低くなっていることがあります。

誤って低い課税標準額に0.4%を掛けると、登録免許税の計算を間違えてしまいます。

例えば土地800万円、建物500万円なら?

具体的に考えてみましょう。

亡くなった父名義の自宅について、

土地の固定資産税評価額 800万円
建物の固定資産税評価額 500万円

だったとします。

合計は、

1,300万円

です。

単純計算では、

1,300万円 × 0.4% = 5万2,000円

となります。

つまり、

「自宅は市場では2,500万円くらいで売れそうだから10万円」

という計算ではありません。

相続登記では、まず対象となる土地・建物を確認し、それぞれの固定資産税評価額を確認して登録免許税を計算します。

不動産が何筆もある場合はどうする?

相続する不動産が、

・自宅の敷地
・私道持分
・畑
・山林
・建物

など複数あることも珍しくありません。

その場合、相続登記の対象となる不動産について、それぞれの価額を確認して課税価格を計算します。

自宅の敷地が見た目には一つでも、登記上は、

土地A
土地B
土地C

と3筆に分かれている場合があります。

逆に、固定資産税の通知書だけを見ていると、非課税の私道などが分かりにくいこともあります。

相続登記をする前には、登記事項証明書などでどの不動産が相続登記の対象なのかを確認することが大切です。

固定資産税が0円の道路でも、登記では確認が必要です

私道や公衆用道路などでは、固定資産税が課税されていないことがあります。

そのため、

「税金がかかっていない土地だから、評価額も0円だろう」

と思われるかもしれません。

しかし、固定資産課税台帳に価格がない土地については、登録免許税を計算するために、法務局が認定した価額を使用する場合があります。

国税庁も、固定資産課税台帳に登録された価格がない場合には、登記官が認定した価額になると案内しています。

自宅の前の私道持分などを相続している場合には、固定資産税が課税されていないからといって、相続登記から漏らさないように注意しましょう。

100万円以下の土地は登録免許税がかからないことがあります

現在、相続登記には一定の登録免許税の免税措置があります。

その一つが、不動産の価額が100万円以下の土地についての免税措置です。

2027年3月31日までに、一定の相続による土地の所有権移転登記などを行う場合、その土地の価額が100万円以下であれば登録免許税が免税となります。

以前は対象となる地域について条件がありましたが、現在は対象が全国の土地に拡充されています。

例えば、

固定資産税評価額80万円の山林

を相続した場合、要件を満たせば、その土地についての登録免許税は免税になる可能性があります。

「全部で100万円以下」なのか、「土地ごと」なのか

複数の土地を相続するときには、

「全部の土地の評価額を合わせて100万円以下でなければいけないの?」

という疑問が生じます。

免税措置を検討するときは、対象となる土地の価額や持分などを個別に確認する必要があります。

特に共有持分を相続する場合は、不動産全体の価額ではなく、一定の場合には不動産全体の価額に取得する持分割合を掛けた額によって判断します。法務局もこの取扱いを案内しています。

例えば、

土地全体の価額 300万円
亡くなった方の持分 4分の1

であれば、持分についての価額は単純計算で75万円になります。

実際に免税措置が適用できるかは、登記の内容と持分を確認して判断します。

100万円以下なら「建物」も免税?

ここも注意が必要です。

この100万円以下の免税措置は、土地について設けられている制度です。

例えば、

土地 80万円
建物 500万円

だった場合、

「合計580万円だから免税にならない」

と単純に考えるわけではありません。

土地について免税措置の要件を満たせば土地部分は免税となる可能性がありますが、建物については原則として通常の登録免許税を計算します。

「不動産が100万円以下なら何でも無料」という制度ではありません。

親が相続登記をしないまま亡くなっていた場合にも免税があります

もう一つ重要な免税措置があります。

例えば、

祖父が亡くなり
↓
父が土地を相続した
↓
しかし父名義への相続登記をしなかった
↓
その後、父も亡くなった

というケースです。

このように、相続によって土地を取得した方が、その相続登記をしないまま亡くなっている場合があります。

一定の要件を満たす場合、亡くなった父をいったん登記名義人とするための相続登記について、2027年3月31日まで登録免許税が免税になる制度があります。

古い相続が何代にもわたって未登記になっている場合には、この免税措置が使えるかどうかも確認する価値があります。

免税は自動的に適用されるわけではありません

「条件に当てはまる土地なら、法務局が自動で無料にしてくれる」

と思われるかもしれません。

しかし、免税措置を受ける場合には、登記申請書に免税の根拠となる法令の条項を記載する必要があります。

法務局も、必要な条項の記載がなければ免税措置を受けられないと案内しています。

つまり、

「評価額が100万円以下だった」

だけで終わるのではなく、

・どの免税制度に該当するのか
・申請する登記が対象か
・適用期限内か
・申請書に必要な記載があるか

まで確認する必要があります。

登録免許税が0円でも、相続登記をしなくてよいわけではありません

登録免許税の免税と、相続登記の申請義務は別の話です。

相続登記は2024年4月1日から義務化されています。

一定の場合には、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請する必要があります。

「評価額の低い山林だから」

「登録免許税が免税になる土地だから」

という理由で、相続登記そのものが不要になるわけではありません。

むしろ、評価額が低く利用していない土地ほど、世代交代を重ねるうちに所有者や相続人が増え、後から手続が複雑になりやすいことがあります。

司法書士の報酬と登録免許税は別です

相続登記の費用を確認するときには、

登録免許税と司法書士報酬を分けて考える

ことも大切です。

登録免許税は、登記の際に国へ納める税金です。

これに対して司法書士報酬は、

・戸籍等の確認
・相続人の確認
・登記情報の確認
・遺産分割協議書などの作成
・登記申請書の作成
・法務局への申請

など、依頼する業務についての費用です。

そのほかにも、

・戸籍謄本
・住民票
・固定資産評価証明書
・登記事項証明書

などの実費が必要になることがあります。

「相続登記に5万円かかる」と聞いた場合でも、その5万円が登録免許税なのか、司法書士報酬なのか、実費を含んでいるのかによって意味が違います。

見積りを見るときは、内訳を確認すると分かりやすくなります。

まず固定資産税評価額と不動産の数を確認しましょう

相続登記にかかる登録免許税を知りたいときは、まず、

・相続する土地は何筆あるか
・建物は何棟あるか
・共有持分はないか
・それぞれの固定資産税評価額はいくらか
・100万円以下の土地がないか
・何代も相続登記がされていない土地がないか

を確認します。

大志法務事務所では、相続人の確認、相続不動産の調査、遺産分割協議書の作成、登録免許税の計算、相続登記の申請まで一連の手続についてご相談を承っています。

「親名義の土地や建物がいくつあるのか分からない」

「固定資産税の通知書を見ても、どの数字で計算するのか分からない」

「昔の相続が残っているので免税制度が使えるか確認したい」

という場合は、登記記録や固定資産税関係の資料を確認しながら整理することができます。

相続登記の登録免許税は、原則として固定資産税評価額を基に0.4%で計算します。ただし、一定の土地については2027年3月31日まで免税措置があります。単純に「不動産の値段×0.4%」と考えず、対象不動産と評価額、免税制度を確認することが大切です。

参考情報

国税庁「登録免許税の税額表」
国税庁の登録免許税の税額表を確認する

法務局「相続登記の登録免許税の免税措置について」
法務局の免税措置の案内を確認する

法務省「所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し」
法務省の相続登記に関する案内を確認する

※法令・制度の内容は、2026年9月27日時点の情報に基づいています。